ねえ



いかないで

 

 





あの日、あの時

 

 


 

 




最近の先輩は




なんだか変

 



あの夜寮の皆と
パ-ティ-してから

 

 

 

 

 

 

 




先輩は
なんだか 変

 

 

 




なんていうの?雰囲気が 切ない

 




前から
あまり話さない人だった
しかも
最近は
先輩の新たな面を知って
またパ-ティ-を期待する皆があるから
あの人の性格からして
避けるのも 分かる

 

 




けど


違う

 



"そういうの"じゃない

 

 

 




何かを悟ってるかの様な

 

 

 




幸い
私は避けられても
押して押して押して
先輩が折れるまで押して


だから
一緒に長鳴神社へ
散歩に行ったりとかする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



でも

 

 




やっぱり
先輩は

 

 





悲しげな表情をするだけで

 

 





笑っても作り笑い

 

 





ねえ
私と一緒は 嫌?


私は どうすればいいの?


また 前みたいに
先輩と楽しく話したいだけなの

 




先輩に

 

 

 




笑ってほしいだけなの

 

 





この前も そう





『アキを 頼む』





分かってる
真田先輩は

何故か ほっとけない人だから

 



けど




何故か 何故か
怖くて
聞けなかった





『荒垣先輩は?』

 





ねえ



もうすぐ
何か起こるの?




もうすぐ
何か 何か
荒垣先輩に






(ダメ そんなの 考えちゃ)






本能を理性が埋める





そんなの 嫌 だから
正夢に絶対なってほしくないから
そんな未来 許せないから




そんな "おわり" 嫌だから





いつも いつも
私は我慢する



ああしたい こうしたい
そんな自分の意見は消えちゃえ


だって
"この今"が楽しいじゃない?
明るく元気な
"この今"が

 




でも

 

 





"今"



"今"だけ

 





わがまま に ならせて

 






『先輩が好きだから』
『私は信じられませんか?』
『私の部屋に来ませんか?』
『じゃあ、先輩の部屋でもいいです』
『分かってます』






『それでも先輩が好き!』

 




わざと
先輩の困る様な
言葉を選ぶ






『帰らない!』

 






はねっかえりで悪いよね




でも





私が欲しいのは"今"





私は消えないから壊れないから





先輩の事 忘れないし 許す

(許してほしくないなら許さない)

 

 





先輩は悪くないから
私が全部悪いから



 








理性なんて殴り倒して!



 




 














 

 



自分から欲しがる事が




こんなにも
こんなにも



してはならない事だと
初めて 知った




ああ
やっぱり




欲しがっちゃ ダメ
わがままは ダメ






ああ
神様




お願い
お願い
お願い




 

 



悪いのは私
全部 私
欲しがったのも誘ったのも
歯止め利かなくしたのも
全部、私




もし
私が欲しがったから
"こう"なってしまったのなら


"こう"なるのは
私なの






だから

 

 

 




「泣くな…湊…」

 




ここで初めて名前を
呼ぶなんて





ずるいよ




涙なんて
止められないよ





「これでいい…」

 

 




よくないよ
全然 よくない




だから







ねえ




いかないで







荒垣 先輩

 

 

 

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