僕には好きな人がいる

 

女の子の扱いには自信があるし、モテてる自覚もある
自分で言うのも なんだけど
はっきり言って僕はプレイボーイだ

 

どんな女の子も 僕の手にかかれば1週間とちょっとで 僕のとりこ!

 


だけど、人生、上手くいかないものだ

 

 


君はいつになったら

 

 


「ねーそこの君!」
「何でありますか 湊さん?」
「これから小豆あらいに行かない?どうしても、あの あんみつが食べたいんだよなー」
「すみません、"食"という概念に、まだ興味が持てないであります」

 

!!!

 

(これは選択ミスだな...無難にゲーセンとかカラオケにすればよかったかも)

 


「...あ そう...そっか」
「...そんなに行きたいでありますか?ゆかりさんや風花さんを誘ってみてはどうでしょう?」
「あー…でも皆、ダイエットしてるって言ってたっけなー」
「そうでしたか?皆さん、湊さんと一緒に出かけたいと言ってたでありますよ...確認をとってみますか?これから、ゆかりさんに用がありますので...」
「あーもう!!!!」

 


(本当はかっこよく、スマートにしようと思ってたのに)

 


(君が相手じゃ)

 


(なりふりなんて、かまってられないじゃないか!)

 

 

頭と体が違うことをする

 


アイギスと僕の距離が、どんどん縮まる

 


「僕は」

 


「僕は 君と、行きたいんだ!」

 


不思議そうなアイギス
...人の気も知らないで!
そんな理不尽な怒りがこみあげる

 

まだだよ、まだだって自分!
まだ その時じゃない!

 

(だから)

 

その言葉を言っちゃダメだ!!

 


「僕は、君の事が」

 

「す」

 

 

(かつん)

 

 

「...痛いでありますよ なんですか?いきなり」
「......え?」
「"痛い"についてのツッコミは無しですか?」
「あ その」
「なるほど、これが"スルー"ということですか なるほどなー」
「...ちょっと?アイギス? え?」
「まあ いいです  それでは、また後ほど」
「え あ、うん  また、寮で」

 


..........え?

 

 

(い いま、かつん って)

 

 

僕は力みすぎて、さりげなく、アイギスに近づいてて、

 

 

(それで、それで....それで?)

 

 

かすかに痛い 自分の口元に触れる

 

 

 

(これ は)

 

 

 

初めてなワケじゃないのに、顔が熱くて、胸が少し苦しい

 

 

 

(やっぱり、機械だから、かたい のか?)

 

 

(じゃあ、顔じゃなくて体も   かたい のか な?)

 

 

 

!!
だ ダメだ!想像しちゃダメだ!

 

 

こんな、中学生じゃ  あるまいし!

 

 

 

(こんなんじゃプレイボーイなんて言えないじゃないか!!)

 

 


(で でも、初心に返るということで、少しぐらいは...)

 

 

 

去ってくアイギスの後ろ姿を見ながら、僕はそんなことを考えていた

 

 

 

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