日に日に弱くなっていく体

 


肺は押し潰されるように苦しく、頭痛も酷い
体はどことなく重く、景色はかすんで見える
生きているのが やっとのこの状況

 


あの日、
僕が生命の答えに辿りついてからの日々は
地獄 としか言い様が無いほど辛いものだった

 

 

急速に でも ゆっくりと、僕の体は悲鳴をあげていく

 

 


(...今、僕がここにいる自体、奇跡だよな)

 


この状況を 生き地獄 と言ってはいけない気がした
僕の身に起こっている奇跡を考えれば、今の状況は 天国なのかもしれない

 


(でも、ツラいものはツラいんだよね)

 


(それとこれとは別、ってことか)

 

 

今は 3月2日

 

 

あと少しで、約束が達成されて、この日々が終わる
----いや、僕の日々が 終わる

 

 

何もかもを忘れている皆と一緒に過ごす日々は
予想以上に、厳しいものだった

 


(やっぱり 精神的にキツいっていうか...)

 


(今の僕には、やっぱり こたえる)

 

 


もう、がんばるの、やめてもいいかな ?

 

 


(希望の見出せない奇跡なんて、もう、望んでいられないよ)

 

 


だって僕は、もう誰よりも頑張った

 

 

皆が忘れてる、
楽しかった事嬉しかった事苦しかった事悲しかった事
全てを1人で、抱えてきたんだ

 

 

また、1人で

 

 

だけど今回は、もう  無理だよ

 


こんな、たくさんの思い出、僕の手には負えないんだ

 

 

(だから)

 

 

いいよね?

 

 


あの日に皆と約束したこの場所に
今、僕は 1人で来ている

 

 

桜の花が散っていく中、だるい体を眠気に預けようとした

 

 

 

その 一瞬

 

 


まるで僕の眠りを妨げるかのように、桜の花びらが僕を包んだ

 


それは害意のある妨げじゃなくて、優しく明るく元気づけるようで

 

 

「...僕に、もう少し頑張れ   って事?」

 

 

何があるわけでもないし、もちろん誰もいない

 

 


だけど、今、僕は
確かにキミと通じていた

 

 


ふわり

 

 

僕の手のひらに、1枚の花びら

 

 


「...うん そうだね」

 

 

それを優しく握る

 

 

「もう少し、約束の日まで、もう少し頑張ってみる」

 

 

「...みんなを 信じるよ」

 

 

ふわり、ふわり  と僕を包む桜の花びら

 


それは僕を、しっかりと立たせてくれている気がして

 


「.....僕を、支えてくれてるの?」

 

 

ふわり、ふわり

 

 

「.......ありがとう」

 

 

眠りにつきそうだった体に鞭を打ち、
僕は この場所を後にした

 

 

(次に来る時は、皆と一緒に---)

 

 

 

たとえ明日が来なくても


(大丈夫    キミも奇跡を起こせるんだろう?)

 

 

 

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