俺には
いつも渡れない信号がある
それは
近づくと 点滅し、
たどり着くと いつも赤
毎日 毎日
バカみたいにタイミングを逃す
最初は些細な事だったのに
今は気になってしょうがない
君の様に
信号機
(あ- また赤になっちった)
いつもいつも
この赤信号が俺の行く手を阻む
俺の髪色にするぐらい
色的には好きだけど
邪魔するならキライ
しかも
この微妙な1分間が
ほんっと ムリ
イライラするし
無視りたくなる
(たまに真田や柳生がいるからしないけど)
走れば間に合うけどさ
めんどい朝練前から体力使いたくないじゃん?
マジ 朝から萎える
●●●は
いつも この信号を渡る
朝練ギリギリの時間の電車の俺は
早めに登校してる●●●と同じ電車
朝早いから
あんまし人通りの少ない通学路で
この赤信号に間に合う様に走る●●●が
少し 気になってた
最初は
頑張ってくれい-俺は走らねえぜ-
とか思ってたけど
毎日 毎日
気がつくとさ
そんな●●●を見るのが楽しみになってたんだ
●●●はジャッカルと同じクラス
俺は
教科書借りたり、パン買いに行かせたり、宿題写させてもらったり
しょっちゅう、ジャッカルのクラスに行く
けど
ジャッカルと喋ってるのに
ジャッカルをパシらせてるのに
友達と楽しそうに喋る●●●を目で探してしまう
楽しそうに微笑む笑顔見ると
俺も嬉しくなる
そんでさ
その相手が男だと
なんかムカっとするワケで
やっぱさ コレってアレだよね
だから だから
今日こそは
あの信号を渡るんだ
●●●に俺の天才的な技
見してやりたいしね
そう 思ったのに
今日に限って
青信号に間に合った今日に限って
●●●がいない!
今頃走ってるかもだし
俺が早く来すぎたかもだし
ギリギリまで待つ
だけど
点滅し始めたのに
●●●が来ない
(ま マジかよい..)
休みなのかな?
まったく運が悪いぜ俺
今日の星座占い最下位だぜ絶対
脱力し
ゆっくりと横断歩道を渡りだす
そしたら
聞き覚えのあるテンポの足音
かなり急いでるのか、いつもより早い 気がする
長い髪を手で押さえ
点滅してる信号を見て
ああ 間に合わない と悟った顔をして
ゆっくりと速度を落としてく
(なんで こんな事で そんな顔するんだよい)
俺の足が ●●●に 向かう
驚いた顔●●●のの手を引っ張り
点滅し終わりそうな信号に向かい
走る 走る 走る
心配そうな顔で遠慮がちに「ま 間に合わないよ..丸井くん..」と言う●●●の手を強く握りしめて
「俺が間に合わせてやるから!」
カッコつけたくて
「俺様の天才的妙技、たっぷり見てけよ」とピ-スまでして余裕ぶっこいてみる
そうさ
コレがチャンス
このチャンス 逃すワケにはいかないぜい!
早さについていけず足がもつれそうになる●●●をアシストしながら
俺達は信号を渡り切った
●●●は相当疲れたみたいで
中腰になり肩で息をしてる
ここで空気を読まないのが
丸井ブン太
ちょっと辛そうな●●●の肩を
ガッチリと掴み
「●●●..ちゃん!」
●●●は目を丸くしている
("ちゃん"って俺らしくねェよい!)
そんなどうでもいい事に
内心ノリツッコミしつつ
俺は引き続きKYさを発揮する
「信号に向かって走る姿が印象的だ!」
●●●の驚いた表情が
みるみる 変化し
今は 笑いを必死に堪えてる
そんな事も
精一杯な俺は気付かなくて
「俺は そんな●●●ちゃんが好きだ!」
どんなだよ
というツッコミはやめてくれよい!
これが俺の精一杯だ!!
本当は ここで
キスでも ぶちかますと
インパクト抜群なんだろうけど
ちょっと俺には無理だぜい
抱きしめる事すら、できないのに、
キスはハ-ドル高すぎだ!!!
そんな事をグルグル考えてたら
●●●が 抱き付いてきた!
(ま まままマジかよい!)
何も言わないあたり
●●●も精一杯なんだろう
(俺達 精一杯同士だぜい)
(ま 精一杯なくらいが 丁度いいと思うけどね)
返事がOKなのか もしくはNOなのか
(これでダメだったら立ち直れないぜい)
まだ 今の時点
そこまで考えらんないし、
朝練の時間が過ぎてんのも
この状況に精一杯すぎてて気付けないし、
ただ唯一 考えられるコトといえば
赤信号のおかげで
俺達の邪魔するヤツがいないってコト!
ああ 神様!!!
赤信号も悪くないぜい!!!!!
ビバ☆赤信号!
と考えてしまう俺は
調子に乗りすぎかな?
ま、そんなの
抱き付いてくれてる●●●の可愛さに
テンション上がってるせいにしといてくれよい!