登校する時に
ひとつ 考える事がある


 

 

●●●のコト

 

 


今日は なんて言って、からかおうか
今日は なんて言って、突っかかろうか

 


早く
早く

 

●●●と会えないかな

 


最近見つけた道を通る
こっちの道のが遠回りだけど、

 

●●●がこの道使ってるから
●●●と早く会えるから

 

最近は こっちの道のが
気に入ってる

 


あ、●●●

 

 


声をかけようとするが、やめる

 


(クラスの男子と喋ってる)

 

しかも

 

(すごく、楽しそう)

 


初めて見る光景に
鼓動がやまない

 

イライラが込み上げる
拳を握ってしまう

 


そんな自分を●●●に見せたくない

 


その一心からか

 

走りだしていた

 

 


notice that

 

 


嫌な登校から
4時間が経過

 

今は昼休み

 

いつもなら
桃先輩とかと食べるけど

 

そんな気分になれなくて

 

 

気付いたら屋上

 


(また"気付いたら"じゃん)

 


さっきも
"気付いたら"
学校に着いてた
"気付いたら"
授業終わってた
(寝てたからかもだけど)

 


全ての根源は

アイツに決まってる

 

同じクラスの●●●

 


●●●のせいで
今日の俺は空回り 調子狂いっぱなし

 


(ホント バカらしい)

 


なんでアイツなんかに
調子狂わされてんだか

 

にゃろう

 

こっちだって
調子狂わしてやる

 


(..こう思ってる事自体、調子狂ってんじゃん)

 


あ-あ


本当に

最近の俺はオカシイ

 


●●●の事を"気付いたら"考えてるし

 


(また、"気付いたら"だね)

 


こんなボヤボヤした気持ちをハッキリさせたくて、

 

菜々子さんに相談した
(なぜか親父にだけは言いたくなかった)

 

そしたら

 

ナゾの微笑みを返された

 

 

ホントに もう
ワケワカラナイ

 

 


屋上に来たのだって、

 

桃先輩とかと
会う気分じゃなかっただけじゃない

 


理由が もう一つある

 


お昼休みが始まった直後、●●●に-…

 


●●● に

 

また、●●●に

 

 


パズルが完成する様に
頭の中で全てが繋がる

 

 

いつも そうだった

 

 

●●●が関わると
"気付いたら"なっていた

 


●●●が他の男子と喋ってたから、
"気付いたら"走って学校に向かってた

●●●が居眠りしてたから、
"気付いたら"俺も居眠りしてた

お昼休みが始まった直後に
●●●が

 

朝 俺に会えなくて残念 って言ったから、
俺の事を 名前で呼びたい って言ったから、

 

苦しいくらいの鼓動を
隠したくて、止めたくて

 

俺も●●●の事を
名前で呼びたいけど
なんか恥ずかしくて

 


"気付いたら"

 


屋上に来ていた

 

 


ああ

 

 

気付いてしまった

 


気付かされてしまった

 


高鳴る気持ちを冷静にしたくて
英語で つぶやく

 


「I notice that be in love...with you」

 


そう言ったと同時に振り向くと


赤面し覚悟を決めた様な●●●がいた

 


きっと探し回ったのだろう
肩で息をし、ほんのり汗ばんでいる

 


そんな事さえ愛おしく思えるのは
俺が自覚したからなのか


 

今すぐ その言葉を受け取りたいが、
赤面し余裕の無い今の俺をプライドが許すはずもなく、

 


●●●を焦らす行動をとる

 


駆け寄り
抱きしめて
耳元で囁く


 

「●●●、放課後、一緒に帰ろうよ」

 

「その時に、聞くからさ」

 

●●●の体が強張るのを感じ、吹き出してしまう

 

「俺も●●●に伝えたいコト、あるんだ」

 

 


そう言い残し


"気付いたら"


全力疾走していた

 

 

 

(俺、)

 

(ちゃんと、カッコよく、見えたかな)

 

(余裕、ある様に、見えたかな)

 

 

 


自分の中で

 

真っ赤な顔を全力疾走のせいにして

 

 

ただ ただ 走っていた

 

 


放課後まで あと2時間

 

 

 

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