授業で不思議な詩を習いました

 

 


その詩は何かと似ていて、でもそれが何なのかは分からなくて
―――むしろ、本当に何かと似ているのかすら ハッキリとはしていない

 

 

だけど、ひどく、惹かれる

 

 


そう 惹かれるのだ

 

 


まるで
(蝶のように儚げな貴方のように)

 

 


まるで
(くだけた小石のように ちっぽけな機会の私が)

 

 


まるで
(乾いた河原みたいな私の心を潤していく貴方の優しさで)

 

 


まるで
(いつの間にか 満たされている)

 

 


まるで
(貴方へのこの感情で満たされているのだ)

 

 


そう

 

 


この詩の様に

 

 


「ああ、そうでありますか」

 

 


夕焼けの中 昇降口で、一緒に帰る約束をした 私を待つ湊さんがいる
その儚げでいて、それでいて芯のある、かったるそうな猫背の後ろ姿を見て、

 

 


物思いに 耽る

 

 

 


秋の夜は、はるかの彼方に、
小石ばかりの、河原があつて、
それに陽は、さらさらと
さらさらと射してゐるのでありました。

陽といつても、まるで硅石か何かのやうで、
非常な固体の粉末のやうで、
さればこそ、さらさらと
かすかな音を立ててもゐるのでした。

さて小石の上に、今しも一つの蝶がとまり、
淡い、それでゐてくつきりとした
影を落としてゐるのでした。

やがてその蝶がみえなくなると、いつのまにか、
今迄流れてもゐなかつた川床に、水は
さらさらと、さらさらと流れてゐるのでありました……


 

 

 

私が見つけた この思い

 

 

 

あなたへの、おもい
一つのメルヘン

 

 

 

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タイトル・詩/中原中也